”深く、鮮やかな若林節を堪能できる一冊。最後に泣かされるとは、、”
若林さん、キューバへ
前作、「社会人大学人見知り学部」のから4年、楽しみにしていたオードリー若林さんのキューバ旅行記「表参道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬」を読了しました。 買ってから、すぐグイグイと読み進めてあっという間に読み終えました。文章もすごく読みやすかったです。 キューバへ行ったのは、オードリーのオールナイトニッポンを聞いたので知っていたんですが、キューバの情景と若林さんの心情をより詳しく読めて満足でした。
ニューヨーク!「Lets' enjoy!」
「社会人大学人見知り学部」の発売時点で、売れに売れていたオードリー。若林さんは番組のMCや大好きな本の番組で更に活躍。相方の春日さんも、ボディービルや海外ロケでの活躍、 2017年現在、東大受験を目指すなどオードリーとしての活躍の幅が更に広がっていますね。 2014年初頭、スーパーボウルのロケ(オードリーは、元アメフト部)でニューヨークにいました。ニューヨークでは、「人生をエンジョイ!」 「常にチャレンジしよう!」「成功を掴みましょう!」といった広告が溢れ疲弊した若林さんは、少しばかりもっていた「エンジョイしたい!」気持ちが粉砕されました。 そして奇妙な感覚に陥ります。「ここから発信されている価値観が太平洋を渡って東京に住んでいる僕に届いているのではないだろうか?」
なぜ、キューバへ?新自由主義と家庭教師
若林さんは、アラフォーになってもニュースが理解できないことが多く、1年前から家庭教師を雇っています。イメージではムチャする春日さんを冷静にコントロールする若林さんですが、 学生時代はむしろ逆で、勉強も春日さんの方がかなり出来ていたようです。 バブル崩壊後、旧来の日本型経営システム(年功序列や終身雇用)が崩壊して、強烈な競争にさらされる事。競争が全世界規模になるので、富める人は更に富み、貧しい人は更に貧しくなる超格差社会がやってくる。
若林さんも、芸人として売れる前はお金も無く、同級生の誕生会に参加しても、自分だけ安いプレゼント。引く周囲の友達、、、、。 ブレイクして売れてから参加した同窓会で、周りから「CMとかやってお金たくさんもうかってるでしょう?」と聞かれ、「まあね!」とおどけて答えても、引く周囲の友達、、、。 持たざる者も持ってる者も、否応なく競争相手で敗れたものは、切り捨てられていくのか?競争から降りた人は、生きていけないのか?違和感、、、。
ずっと抱えていた違和感を「社会人大学人見知り学部 卒業見込」にぶつけていた若林さん。それは、すべて新自由主義のシステムのせいだったんだ。 「先生、知ることは動揺を鎮めるね!」 「若林さん、学ぶことの意味はほとんどそれです」 競争!競争!競争、、。そして、そんなシステムがない国に行きたい!!そう、キューバ!キューバ!キューバ! 5日とれた夏休みに一席だけ空いていた航空券を予約して、若林さんのキューバ紀行の始まり、始まり____。
クラシックカー。景色を見て笑う
カナダ経由でキューバへついた若林さん。タクシーで、ホテルに着くとかっこいい部屋!意外にもアメニティも取り揃えてあります。 疲労から眠りにつく。起きるとまだ朝5時。朝食までまだ時間があるので、屋上に景色を見に行きます。 徐々に街灯がつきはじめ、街に色がついていく。クラシックカーに古い街並み。なぜか若林さんは、笑ってしまいます。それも爆笑に近いくらい。どんな笑いなのか?
誰かの顔色をうかがった感情じゃない。お金につながる気持ちじゃない。自由に、正直に感じているからこそでる笑いなのか。 景色を見て笑ってしまう。そんな景色を見てみたいもんです。キューバは、アメリカと国交を長いこと断絶していたために、物資など外からなかなか入ってきませんでした。 車も何度も修理をして、使いまわす為、自然とクラシックカーになってしまうんですね。広告などもなく、マクドナルドなどありません。 それが、近年国交を回復したために、このような景色がみれるのも後何年かと言わてるそうです。 朝食を食べて、いざ1日目の観光へ!
捨てよ!固定観念!
1日目のガイドは、マルチネス。真面目そうなキューバ人男性です。まずは、革命博物館へ向かいます。
「革命博物館まで何分くらいですか?」
「・・・・・15フンクライ」
それから無言。
「暑いですね。」
「オヒルハモットアツクナル」
それから無言で革命博物館へ向かいます。そこで若林さんは気づきます。 「マルチネス、人見知りだわ」 この件は、ラジオでも聞いていて改めて、笑いましたね!キューバ人は陽気で明るい人だらけといったイメージでしたが、当然そんなキューバ人もいるよな__。 革命博物館、カバーニャ要塞、ゲバラ邸宅と案内され、カストロとゲバラの写真や資料を見学します。 どの写真もかっこいいらしいです。確かに、日本でも前にゲバラブームありましたよね。映画から火がついたんだったかな?Tシャツとか、グッズ色々ありましたね。
私も、モーターサイクル・ダイアリーズ見ましたもん。中南米と革命にかぶれてた時、ありましたもん。 プロパガンダも、かなりあると冷静にみつつ、カストロの演説に熱狂していたキューバの聴衆に、若林さんは思いを馳せます。 5時間、時には10時間ぶっ続けで、演説を行ったカストロ。人々は、演説に熱狂し心酔し、良くも悪くも、そのカリスマ性でキューバを引っ張っていたカストロ。10時間も人々を飽きさせず、熱狂させる演説には、カストロの強烈なエネルギーがあったんでしょう。エンターテイメント性、声質、リズム。ラップを刻むように演説していたんではないかと 若林さんの、人前に出る芸人としての分析です。
1クーク(約100円)と1センターボ(約1円)を間違えた事で、ホテルでチップを多めに払ってしまった件を話して打ち解けたマルチネスさんと別れます。 イメージしていたキューバ人とは違うけど、一生懸命でいい人だったんでしょう。マルチネスがガイドで本当に良かったと若林さんは綴ります。