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表参道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬

”深く、鮮やかな若林節を堪能できる一冊。最後に泣かされるとは、、”

格差はどこにでもある

その日の午後から、キューバ在住の日本人マリコさんにガイドを頼んでいて、キューバ人の普段の生活を知りたいとディープなキューバを案内されます。 キューバンジャズ・バー、市場と配給所と闘鶏所。配給所では、普段のキューバ人の生活。闘鶏所では、ギラついた男たち。 ディープなキューバをみて知ったことは、配給所も以前に比べ物が少なくなっていること。海外のキューバ人家族からの送金は、受け取ることができるために家族が海外に住んでいる人は 家電製品や物資を持っていて家族が海外にいない人と格差があること。住宅も国からの割当で決まるために、政府機関とのコネが重要であること。

結果、キューバも不平等はあってコネや家族で決まるキューバの現実を知ることになりました。 そもそも人間は、平等よりも競争をしたい生き物なのかな?だったら、資本主義と新自由主義の方が、人間にとって自然なのかな?

なぜキューバへ?その1(ネタバレあり)

キューバ滞在最終日。1人で海に行きトラブルに巻き込まれながらも、ホテルに着いて最後に街をみようと散歩をします。 少し慣れてきて、アイスを買い食べ歩く。 「これ、水飴が入ってるのかね?」 「そうかもな」 「ピアノ弾いてるみたいだったね」 「ほぉ」 もっとローカルな道に入っていくと、カラフルな町並みが網膜に焼き付く。ピンク、ターコイズブルー、エメラルドグリーン。 坂道で遊ぶ子どもたち 「僕も子供の頃、あれくらい大きな声で笑ってたよ。」 「そうか」 海が近づいてきて堤防に座り、海をみる。 「楽しかったなぁ」 「・・・・俺も」 若林さんは、亡くなった父親の画像をスマホにだす。

なぜキューバへ?その2

若林さんの父は、2016年の4月に亡くなったそうです。亡くなる前に父がどこに行きたがってた国はないか?と母に聞いたら、「そういえば、キューバに行きたいと言ってたわね」 それが、キューバに行った最大の理由だったんですね。後半の会話は、若林さんと父親の心の中での会話だったんです。 心象と風景描写が巧みに描かれていて、特に後半は涙なくしては読めませんでした。 キューバの街には、Wi−Fiが飛んでいないから、人は会って話す。会って話したほうが絶対にいいんだ。 静かに海をみるカップル。みんなで笑いあい、楽器を持って演奏している人もいる。 苛烈な競争社会の絶対的な味方。それは家族だ。 キューバの最後に白々しさがない、競争相手ではない、血が通った人間の会話が見れた。若林さんの見たかった光景がそれだったんです。

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