”星野源の過去の苦悩と生活の記録”
生活はつづく。生活をおもしろく。
料金支払いはつづく。そんな地味なテーマから始まる星野源のエッセイです。 携帯の支払い請求書をほったらかしたまま、何日も過ぎいざ支払おうとするとその請求書が見つからない。 口座振替にするための申込書も書くのが面倒で、何日もそのままにしてしまい見つからない。 掃除や洗濯が面倒でどんどんたまる一方。あるあるそんなこと。なんて思ってしまいます。 飛ぶ鳥を落とす勢いで注目されてる著者にも、そんな地味な生活が当然あって、さらにその生活のダメダメ部分をこれでもか!というくらい書いてあったのですごく共感できます。
生活が嫌い
コインランドリーに行けば自分の洗濯物と一緒になぜか他人のブラジャーが入っていたり、宅配便の受け取りは何度も忘れるし、洗面台ななぜかいつもビシャビシャ。 本人もそんな生活が嫌いだ。とつづる。 生活を忘れるために仕事に打ち込むもある日、過労で倒れてしまいます。かけつけた母に『掃除とか洗濯とか地味な生活を大事にしてないからでしょ。だから、倒れるんだよ。』 と言われ、考えが変わります。 そんな地味な生活を、おもしろがる。これがこのエッセイの大きなテーマです。
子供の頃の記憶と母の存在
ようこちゃん。著者は母をずっとこう呼んでいた。物心がついた頃に一度お母さんと呼ぶも、母に却下されて以来ずっとようこちゃんと呼んでいるそうです。 著者が小学生の頃から内向的なためか、ちょっとしたいじめを受けていて、それからずっと腹痛に悩まされていました。 とにかく、その時期の事は早く忘れたかったがある事からそのときの事を振り返ります。 しかし、嫌な事は思い出さずお家での楽しい出来事ばかり思い出しました。
例えば、風呂場から『キャー!助けて!』とようこちゃんの叫び声が聞こえ駆けつけると、『排水溝に吸い込まれるー!』 と叫ぶようこちゃんの腕を精一杯引っ張って、助け出したパニック状態の5歳の息子に 『どうもありがとうございます。』と丁寧におじぎをしたり、『源ちゃんは空から落ちてきた星の王子様なの。』と言ったり
かなりユーモアのあるかわいいお母さんだと想像出来ますね。 大人になってから、その当時のことをようこちゃんに聞くと、 『だって、学校から帰ってくるたびに源の顔が暗くなっていくんだもん。それを無理に頑張れって言うのも嫌だしせめて家の中だけは楽しくいてもらおうと思って。』 と答えます。その時初めて遊ばれていたのではなく、遊んでもらっていた事に気付きます。 確かに、すこし内向的な子供はいじめの対象になりやすく、著者も傷ついていたでしょう。 しかし、家族の存在によってすごく救われていたんです。