”自分ってなんだろう?この世界の意味?”
友達が突然飛んだ。
今回、感想を書くのは『オレンジ・アンド・タール』作家の藤沢周が2000年に発表した作品です。 カズキは、通っている高校の屋上で友人達と談笑していると、突然友人の1人のキョウが屋上の手すり越えて飛び降りる。 高校生が、突然友人の自殺という衝撃を目撃した事で自分の中の何かが壊れてしまう____ そこから始まる自分とは、世界とは何か?生きる意味とは?を問い続ける作品です。
前半はミステリアスで魅力的なトモロウさん
カズキは、亡くなったキョウの事を考える。カズキには、飛び降りた理由が何となく分かったんだろうか? 特に不自由もない生活だけど、何か不安でどうしようもない日があって、そのトラップにキョウは引っかかんだとカズキは思うが、やっぱり分からない。 そんな事を思いながら、いつも遊んでる弁天橋にスケボーを持っていきます。そこには、カズキが普段から話したりスケボーを教えてもらってるトモロウさんがいます。このトモロウさん、弁天橋の欄干の下にダンボールを敷いて暮らしている、いわばホームレスです。 なぜ、トモロウさんがホームレスをしているのか?など過去は読み進めると明かされますが、最初はどんな人物か掴めずミステリアス。 そこに出入りしている、カズキと同じ高校の先輩タカコも同じくミステリアスで魅力的です。 カズキは、自分が出来ない技を出来るトモロウさんになついて、尊敬しているようです。
自殺した理由と自分
カズキ、コミ、モリヤはキョウの一件以来、なんとか日常を過ごそうとするけど、モリヤはしだいに学校に行けなくなり、普通に生活できていると思っていたコミは、突然ある事件を起こしてしまう。カズキは、コミの起こした事件から悩むが最後は逆に、自分を取り戻すことに成功したように思いました。 キョウがなぜ屋上から飛び降りたのか?は直接的には分かりませんが、少なくともこの中の登場人物たちは、ちょっとだけ分かってたんじゃないでしょうか? 特にトモロウさんは、キョウに共感しているように思いました。 親の敷いたレールに乗った人生でいいのか?そうなりたくないと思って突っ張っても、トモロウさんのように現実が追ってきてどうにもならないとこまでやってくるんですね。
自分と社会の関係を問いただしてみる
自分の事を考えてみると、社会に入っていけてるとはとても思えません。それは、なんでだろう? 自分のしたい仕事をしていないからなのか、いい年して結婚もしてないし、子供もいないからなのか?でもそれって結局他人からみた自分の評価を気にしてるだけなのか? いやいや、結婚して、子供いて、しっかり仕事してる人はすごい。とか堂々巡りのこじらせの無限ループです、、、。 自分が何者で、生きる意味をすっと考えて社会に溶け込まないと。ドロップアウトしたトモロウさんと、人生をドロップアウトしたキョウが羨ましくもあり、、、。