”オープニングとラストだけでも一見の価値アリ”
イライラする会話。全てはラストのために
ストーリー自体は、難しくないです。ギャンブルで借金まみれの宝石商ハワード・ラトナーが、借金を返すべく大きなブラックオパールの原石を仕入れます。この石を売って大儲け! しかし、現実は上手くは行かない、NBAスターのケビン・ガーネット(本人役)が石を気に入り、半ば強引に石を持っていってしまいます。石を取り返しに行くラトナーですが、その前に借金取りのラトナーの親類アルノたちに脅されひどいことをされます。更に奥さんからは三下り半をつきつけられ、浮気相手の秘書のジュリアに泣きつくラトナー。踏んだり蹴ったりです。ぜんぶ自業自得なんですけどね!
なんとか、ケビン・ガーネットに石を返してもらったラトナー。しかし借金のかたに石をアルノたちに持っていかれそうになったラトナーは、最後の自分の運命 を賭けたギャンブルにうってでます。そこからの展開で、この映画を好きになりました。嫌な人間でしかなかったラトナーに、ある意味スッキリするラストでしたし、これまでのラトナーの行いも、振り返ってみれば人間味あふれる奴だったなぁと思えるなんだか不思議な気持ちになる映画でした。
アダム・サンドラーの凄さ
アダム・サンドラーは、ハワード・ラトナーの短絡的で子供っぽい部分をすごく上手く演じていました。ちょっと出っ歯(つけ歯)もキャクターにあっていたし、自身のルーツのユダヤの文化も物語のマッチしていました。早口のコメディアンも裏を返せば、こうもうざくなるのかというくらい中盤までのラトナーにはむかつきますし、そりゃそうなるよなとラトナーが酷い目にあったら思いますが、ラストの賭けのシーンではなぜかラトナー側を応援していました。それは、こんな嫌悪感を抱くキャラクターなのに人間臭くて憎めない。 それが、アダム・サンドラーの演技の真骨頂だったのではと思っています。
アダム・サンドラー以外でも、寡黙で容赦なく見えるアルノを演じたエリック・ボゴシアンも好きなキャラでした。 最後まで、義理の弟の命までは取らない優しさ。それが最後に仇となってしまいますが。この映画で一番寂しく終えたキャラクターだったと思います。
オープニングめっちゃいい
ラストもスパッと終わって強烈な余韻を残して好きなタイプの終わり方です。ラスト以外でも、オープニングがめちゃめちゃ良くて、石を採掘してるエチオピアの鉱山で労使が揉めている中、作業員が巨大なオパールを 採掘しています。その石に寄って寄って中まで入っていってつながるのが、主人公ラトナーの腸内。この演出がとても好きです。オープニングとラストがとても素晴らしい作品です。 途中もイライラするシーンの連続ですが、それもラストシーンのカタルシスにつながるので、そのイライラさえも監督の思い通りだったわけですね。好き嫌いがかなり分かれる作品だと思いますが、私はオススメです!