”前科7犯、借金50億。村西とおるの半生をドラマ化。攻めるNetflix”
製作期間は異例の2年半。AVの帝王「村西とおる」=山田孝之
2019年8月8日、Netflixで世界配信。前科7犯、抱えた借金50億。「昭和最後のエロ事師」アダルトビデオの帝王「村西とおる」の半生を虚実交えて描いた作品です。村西とおる役に山田孝之さん。村西とおるさんに似すぎです。似すぎています。 企画の段階から、山田孝之さん自身が参加し、Netflixの大ヒット作「ナルコス」の脚本家を招いてワークショップなどを行い、制作チームと 俳優陣がじっくり時間(2年半)をかけて作り上げた渾身のドラマです。
セールスマン村西
最初の舞台は北海道。英会話教材のセールスマンの仕事をしている村西とおるは、客に教材を売ることが中々出来ず成績はさっぱり。鬱屈した生活を送っていました。ある時上司から、会社のNo.1営業マン小野(板尾創路)につきそって営業を学んでこい!とはっぱをかけられ、2人で行動することになりました。 小野のセールストークは、まず相手を褒めて褒めて褒めまくれ!そこに最高の決め文句をぶつけろ!とにかく褒める。英語を使えと言われ、英語を使って営業します。
何件か営業で回った後、立派な家に営業に行きます。そこは、極道(吉田鋼太郎)の家で、村西は脅されますが、小野の教えを守り、巧みな話術で極道の契約を勝ち取りました。そこから自信がつき色々な客層に応じて素晴らしいトークを披露し、No.1営業マンの座を 奪います。仕事が順調なある日突然、会社の金が無くなります。小野が持ち逃げしたのです。金が支払われなくなり、人生は暗転。 追い打ちをかけるかのように、家に早めに帰ると妻がなんと浮気していました。
1〜4話のあらすじ:村西とおるエロの世界へ
「あなたでイッたことがないのよ。」妻にそんなことを言われます。村西とおるの大きな挫折です。しかし、このセリフがエロの世界に村西を導いて行くことになります。 妻と子供が出ていき、1人寂しく飲んでいるとチンピラ風の男トシと出会います。トシは裏の世界の住人で、ラブホテルのカップルの音を盗聴して、 カセットテープにおこして、売りつける商売をしていました。その現場を見て、聞いて、村西は衝撃をうけます。 これを、仕事にと得意のセールストークでエログッズショップにカセットを売ることに成功しますが、さらに、衝撃を受ける商品が!
それは、ビニ本をよばれるビニールに包まれたエロ写真集で、中を開けるまでどんな写真が入ってるか分からない本でした。これが、よく売れていたのです。 村西とビニ本。これからおこる性革命の最初の出会いが第1話で描かれます。
第2話以降は、ビニ本制作にのりだした村西。ビニ本の販売で大成功し、飛ぶ鳥を落とす勢いの村西グループに業界大手のポセイドン企画:池沢社長(石橋凌)が立ちはだかります。 池沢と裏で内通している刑事の武井(リリー・フランキー)に、裏本の販売で逮捕されます。シャバにでてくると、本の時代から映像の時代に変わっていて すぐに、アダルトビデオの制作に乗り出す村西たち。アダルトビデオの黎明期の村西VS池沢の暗闘が東京の歌舞伎町を舞台に3話、4話と描かれています。
Netflix流ドラマ制作術と制作チームの熱
前半4話を観て、セットの豪華さに驚きました。制作に約2年半掛けて通常のドラマ制作期間では考えれられない時間をかけて、 多額の制作資金も投入しているそうです。1980年代の札幌や歌舞伎町もすごく細かいところまで再現されているそうで、当時の空気感も伝わってきます。俳優陣も主演の山田孝之さんはもちろんの事、トシ役の満島真之介さん。編集プロダクションの社長の川田役の玉山鉄二さんも抜群です。村西と川田の出会いのシーンが衝撃的で、村西の才能に惚れて、村西についていく決心をする川田の表情がすごく印象に残っています。
Netflixの制作は、時間と予算をたっぷり使い、長く過ごした分、俳優たちの絆も強くなり、無茶なスケジュールによるモチベーションの低下も防いでいます。 今の地上波には出来ないスケジュール管理と製作期間とコンプライアンスギリギリを攻めるNetflix。それに呼応する役者陣の素晴らしすぎる演技。 実際めちゃめちゃおもしろかったです。後編は、全8話を観た感想と素晴らしい脇役と、この作品が持つ”熱量”の大きさなどについて書いていきます。(後編の感想)