”Netflixドラマの衝撃。日本のエンタメを変えるか!?”
5〜8話のあらすじ:村西とおると黒木香、その出会いが日本を変えた
Netflix発日本のドラマに革命を起こす!?全8話で描かれる鬼才村西とおるの半生とAV業界。後編5話から最後の8話までのレビューです。(前編はこちら) 後編は、アダルトビデオ制作に乗り出した村西率いるサファイア映像に対して、業界最大手の池沢社長率いるポセイドンが圧力を強めて、ビデオ制作が出来ずピンチに陥ります。
その危機の中、村西とおるの前にその後のAV業界に革命を起こすことになる黒木香(森田望智)が現れ、すぐに村西と撮影。黒木香の強烈な個性と村西とおるの情熱。 そのビデオは、最高で素晴らしい作品に仕上がりますが、黒木香の母にバレ、ポセイドンの息がかかったビデオ規制委員会の介入もあり、ビデオの発売ができません。 起死回生を狙い、ハワイで多額の制作費と社運をかけてアメリカ人ポルノ女優を使った大作を制作しますが、アメリカの警察に目をつけられ、帰国前に村西が捕まってしまいます。
懲役370年。多額の保釈金を用意すべく残った社員は奮闘。盟友のトシと黒木香の覚悟で何とか保釈金を用意して、2年で村西は帰国することができました。 その後、村西と黒木の作品は、日本を揺るがすほどのヒットを記録し、肩を並べるポセイドンとの対決に突入。村西と黒木。そしてサファイア映像の仲間たちの運命は!?
山田孝之、魂の演技。
1話から8話まで素晴らしい脚本と映像でした。これが今の世界基準のドラマだと見せつけられた気がします。今のコンプライアンスと自主規制の時代に、 圧倒的な予算と時間。Netflixチームからナルコスの脚本家などを招いてのワークショップ。村西とおるを演じた山田孝之さんは全てにおいて新鮮で楽しい現場だったとNetflixのYou Tubeチャンネル の吉田豪さんとのインタビュー動画で語っていました。今の時代にAVの話をドラマにする。裸に暴力、なぜ現代で裏の世界を描くのか?まで考え抜いて準備をして撮影にのぞんだそうです。 これも、余裕があるスケジュールだからこそしっかりとした準備ができて、最高の仕事ができたようですね。
この役を演じる前に山田孝之さんは、家族もあって今後の仕事への影響を少し考えたと語ります。しかし、この企画がより多く、たくさんの視聴者を興奮させると感じた山田孝之さんはすぐにこの企画を受諾しました。 サラリーマンからAV監督へ至る過程で、あの独特のしゃべり方を会得。その独特の人物を、山田孝之さんに村西とおるさんの魂が乗り移ったかのようなシーンがたくさんあって、 アメリカのAV撮影で、セスナ機を飛ばしてブリーフ1枚で雄叫びをあげるシーン。その後、アメリカの警察に捕まって手錠をハメられ連行されるシーン。それらのシーンが強く印象に残っています。
すごい満島真之介、恐怖の演技。
一つ一つの仕事が丁寧ですばらしく、交番や当時のバブル時代の町並みも再現。少ししか映らないビデオのパッケージもわざわざ新たに撮って作ったそうです。 真摯に時間をかけて、観たい人に向けて観たいものを作る。単純なことのようで、難しいことをやってのけた制作陣を、とても尊敬します。撮影がとても楽しかった理由が、チームとしての”一体感”だったとインタビューで語る山田孝之さん。
全裸監督でもアダルトの撮影の為に人生をかけるチームの一体感がすばらしく、感動します。 1人罪をかぶった村西とおるを救うため、奔走するスタッフ。村西とおるの為に最後は裏の世界にいってしまう満島真之介演じるトシ。トシがもう表の世界に戻れないと悟る國村隼さん演じる古谷とのあるシーンが衝撃でした。あのシーンは、本当に恐怖を感じた人の表情を満島真之介さんはしていたと思います。
森田望智、隠れていた逸材。
村西とおるの運命を変える黒木香役の森田望智さんも今作の主役の1人です。今作までは、ドラマやCMに何作か出てたようですが全裸監督を観るまで知りませんでした。
母から抑圧されて、自分のやりたいことを我慢してきた清楚な女子大生が、村西とおると出会い自らの欲望を一気に開放する5話は、森田望智さんと山田孝之さんのすばらしい絡みもあって今作の制作陣と出演者の覚悟がみえる仕事だったと思います。森田望智さんはオーディションで選ばれた女優で、ドラマを観た後では黒木香役は森田さん以外ありえないと思えるくらい役にハマっていて、あの芸能事務所の人だから使おうといった忖度でのキャスティングもなく、実力で選ばれた今後が期待できる女優の1人です。
冨手麻妙と川上奈々美、素晴らしい。
何度か出てきたみんなで食卓を囲むシーンが今作はよく出てきます。チームの絆を深める演出として効果的で最初のAV撮影後に焼肉店に行き、牛を食べるお金がないから豚足をみんなでひたすら貪り食うシーン。 夏に巨大な冷や麦とポテトサラダを食べるシーン。新入りやお客さんが事務所に来たらとりあえず食えとメシを食べさせるところとか、村西とおるの体育会系的リーダーの資質がかいまみえてキャラクターの説明が分かりやすいです。
食べるシーン以外でも、AV女優役の冨手麻妙さんも川上奈々美さんも、チーム村西のみんなも最高でした。駅弁が生まれるシーンもエロくて切ないしどこを切り取っても最高なシーンばかりです。全8話どの話もクオリティが高くこれが世界基準のドラマなのか!と衝撃でした。 今回のNetflixの全裸監督で地上波のドラマの制作者たちも、かなり刺激になったんではないしょうか?規制が厳しいなかで、アイデアと創意工夫でNetflixに負けないドラマを期待しています。