”出てくる関係者ほとんどクズとサイコパス!!映画のような展開!!真実はいずこ!?”
ピザ配達人爆死事件の真相に迫るNetflixドキュメンタリー
Netflixは、予算をふんだんに使ったオリジナルドラマが有名ですが、意外にドキュメンタリーが豊富なんです。 アカデミードキュメンタリー賞を獲得した「イカロス」をはじめ、「殺人者への道」など魅力的なドキュメンタリーばかりです。その中で今回紹介するドキュメンタリーは、「邪悪な天才:ピザ配達人爆死事件の真相」です。
生中継で起きた惨劇
2003年8月28日、ペンシルベニア州エリーの街で銀行強盗が発生しました。犯人は逃げようとしますが、路上であっさり警察に包囲されます。 すぐ解決するかと思いきや、包囲された犯人が妙なことを警察に叫びます。犯人は、「首に爆弾を何者かに巻かれた!解除しないと爆発してしまう!俺は被害者だ!」 警察が遠巻きにみると、確かに首には爆弾のようなものがついています。そこで、爆発物処理班を呼びますが、到着前に爆発して犯人は死亡してしまいます。
その模様が、テレビで生中継されていたため多くの人がこの事件を知ることになります。自分もアンビリーバボーで昔観た記憶がありますね。 すぐに犯人の身元は判明。犯人は、地元エリーでずっとピザの配達人をしているウェルズという男でした。一体、誰が爆発物をつけて殺害したのか?その真相に迫っていきます!
密告された冷凍庫死体遺棄事件と爆死事件のつながり
爆発物や周辺を調べると、手製で作られた爆弾で多数のメモも見つかりました。メモには爆弾を解除するためのカギの場所が記してあって、宝探しゲームのようなものでした。 しかし、鍵の場所は爆弾が爆発するまでにいくら急いでも、間に合わないようにできていました。最初から、犯人は、ウェルズを殺すつもりだったようです。
警察は聞き込みなど行いますが、犯人の手がかりを見つけることができません。爆弾やメモなど、犯人の残したものはあっても辿りつけない、相当頭の良い犯人です。 更に、事件後すぐに同僚ロバートピネッティも薬物中毒で死亡しました。事件は複雑な動きを見せ、暗礁に乗り上げてしまいます。
しかしその後、事件は急展開をみせました。まず、警察に電話がかかってきます。掛けてきたのは、ロススタインという男で「家の冷凍庫に死体が入っている。 殺したのは、マージョリーという女だ。」という内容です。事実、警察が向かうと冷凍庫に銃で撃たれて死んだ男の遺体が見つかります。 殺したと密告されたマージョリーという女が逮捕され、ロススタインも、遺体を遺棄した罪で連行されます。 遺体が見つかった家は、ウェルズが強盗直前にピザを配達した電波塔と目と鼻の先だったことから、警察とFBIは2つの事件の関連を捜査します____。
悪そうな奴はだいたい友達!
2つの事件を捜査していく内に、マージョリーとロススタインの周辺で事件がよく起こっていることが分かりました。マージョリーの前の夫と前の彼氏も死んでいて、 前の彼氏は、マージョリーが射殺してます。彼氏のDV(マージョリーの証言)とマージョリー自身が心を病んでいたため、無罪になっています。 そして、ロススタインはマージョリーと婚約していた過去も分かり昔から親しい間柄でした。
更にロススタインは、電気工事士で手先も器用で爆弾など作る精密な機械の扱いに慣れていることも分かってきます。 2人に共通するのは、頭がよく切れる事と、マージョリーは銀行に恨み(後述)が、ロススタインは金に困っていた事で動機もありました。 もうこれ絶対犯人ですよね!はい解决!と思いましたが、証拠が無いんです。しかも、ロススタインは病気を患っていて、事件の一年半後に亡くなってしまいます。
重要参考人がいなくなってしまったのです。そこで、警察はマージョリーとロススタインの交友関係を深く調べ始めます。 2人もめちゃめちゃキャラが濃いですけど、2人の周辺人物も二郎系ラーメンのようなとんでもなくキャラが濃ゆーい人だらけでした。 マージョリーの釣り仲間ケン・バーンズは、いけない薬の売人だしロススタインの友達で同居人ストックトンは、過去に婦女暴行事件を起こしてるし、ロクでもない人達だらけです。
決め手は、証言のみ!誰が最初に裏切るのか!
冷凍庫の死体事件で捕まったマージョリーは、強盗爆死事件の証言をするかわりに、今の刑務所から移送される取引をしました 。マージョリーの証言では、ロススタインが黒幕で、私は関わりが無いというものでした。しかし、同房の囚人に、 マージョリーは強盗爆死事件は自分もやったと漏らしてた事が分かりました。更に、釣り仲間ケン・バーンズと馴染みの娼婦ジェシカが死んだピザ配達人ウェルズの上客で、ケン・バーンズの家にウェルズと行ったときにマージョリーに会ったという証言を得ました。
ケン・バーンズも怪しくなってきました。ウェルズも怪しくなってきました。 というか、みんな怪しい人しかほんとに出てきません!被害者ウェルズも薬をキメて買春してたし、アメリカの田舎の闇を見た気がします。
事情聴取されたケン・バーンズ。あっさりゲロります。マージョリーの父と母は資産家でマージョリーに金銭を渡していたが、母の死後、遺産を寄付した事。 そのことでマージョリーは、遺産が無くなったので父を恨みケン・バーンズに父の殺害を依頼した事。報酬は銀行に強盗に入り分ける事。 爆弾を作ったのは、ロススタインとクソな同居人ストックトン。これが、ウェルズの事件の真相だったわけですね___。つながった!つながった!やっぱり怪しい奴みんな犯人だった!
最終話で伝えたかったこと。
事件の詳細は、もう分かりました。しかしこのシリーズの制作者トレイは、1つだけ気になる事がありました。それは、ウェルズが共犯者なのか?という点です。アメリカでは、共犯者を殺害した場合は死刑にならないそうで、ケン・バーンズもマージョリーもその点で、 ウェルズが共犯だったと証言してます。しかし、事件を知る者で娼婦ジェシカだけは、違いました。
犯行グループ4人に金銭の見返りに言う事を聞きそうな人を紹介してと頼まれて、ウェルズを紹介したそうです。 その事をジェシカは、とても後悔している。ウェルズが共犯だという証拠が、強盗事件の前日にウェルズとロススタインが会っていたという目撃証言だったんですが、ジェシカとウェルズのその日の昼まで一緒にいたと証言して、目撃証言を否定します。ジェシカにとってウェルズはいつしか、客以上の感情を抱いていると答えます。
そこが最終話のクライマックスでした。ジェシカはその後、出産をします。その子供がウェルズに似ている。そしてマージョリーは刑務所で無実を訴えながら、ガンで死亡。 という字幕で終了します。このドキュメンタリーでは、ウェルズは共犯ではない説をとってますが、全部観ると、 個人的にはやっぱりウェルズも怪しいんですよね。警察に包囲されてても落ち着いているし、 黒人に首の爆弾をはめられたとまで言ってます(マージョリーがそう言えとウェルズに伝えたとバーンズが証言)。うーーん、なんかラストは釈然としませんー。
主人公マージョリーとロススタイン
事件の首謀者はマージョリーで間違いないと思います。インタビューの映像が流れるんですが、見た目も相当にヤバイです。昔は、かなり美人で頭も良かったらしいのですが、 刑務所のマージョリーは、見る影もありません。しかし、法廷で証言をしてる姿は、法廷画家も優しく描いてしまうほど、 同情をかうような話し方で陪審員も騙されそうだと思うほどだったようです。マージョリーを中心として、男たちが集まっていましたし、話したりすると、とても魅力的なのかも知れません。
それを含めてサイコパスだったのでしょう。一方もうひとりの主役ロススタインも、頭が良いことを誇示するかのようなメモと、実際に殺傷能力のある爆弾を作れてしまう能力と証拠を残さない手際。 ロススタインの電話がなかったら、この事件は解决してなかったかもしれません。自分の死期が近いことを知ってただろうし、強盗爆死事件は、ロススタインにとって警察への挑戦だったのでしょうか?まるで、sawのジグソウのようです。 このドキュメンタリーを観て得た教訓は、「ピザを配達する側ではなく、配達される側の人間になれ!」てことですね。はい、違いますね。すいません。 おわり