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キャプテン・マーベル

”キャプテン・マーベルは笑わない”

『アベンジャーズ/エンドゲーム』を前に最後のヒーローがやってくる

2019年3月15日日本公開。『マーベル・シネマティック・ユニバース』シリーズとしては、第21作品目の映画です。4月26日に『アベンジャーズ/エンドゲーム(感想はこちら)』公開を控えて 是が非でも観ておかないと思い、さっそく鑑賞してまいりました。

原作のマーベルコミックも読んだことがなく、キャプテン・マーベルというヒーロー自体も知らなかったので、観る前は、「本当におもしろい?エンドゲームに繋がるからしょうがなく観てみるか」ぐらいの意気込みでしたが、鑑賞後は良い意味で裏切られました。「キャプテン・マーベル」単体の映画として、とても良くできていました。

マーベルシリーズの楽しいコメディ要素あり、ド派手なアクションあり、と『キャプテン・マーベル』はそれにサスペンス要素もあって楽しめました。エンドロール後恒例の『アベンジャーズ/エンドゲーム』へのフリも次への期待を感じずには入られません。

フューリーの過去とキャプテン・マーベルの秘密

今作は、アベンジャーズ結成前のお話。1995年、クリー帝国の首都となる星「ハラ」で、クリー人のエリート特殊部隊"スターフォース"に所属する過去の記憶がないヴァース(後のキャプテン・マーベル) クリーと敵対するスクラル人がいる惑星に捕らえられたクリーの戦士救出作戦の最中、スクラルの罠にはまりヴァースが捕まってしまい、過去の記憶をスクラルに詮索されます。 途中で、意識を取り戻したヴァースはスクラルの宇宙船から命からがら脱出。ヴァースが乗った宇宙ポッドは地球に墜落します。

ヴァースが墜落した店に通報を受けてやってきたS.H.I.E.L.D.のレベル3エージェント・ニック・フューリーと新人エージェント・フィル・コールソン。にわかに信じがたいヴァースの供述。そこに、ヴァースを追って地球にやってきたスクラル。スクラルは相手の外見や声まで真似る能力があって、ヴァースと追うフューリーVS地球人に化けるスクラル。

スクラルを1人倒したフューリーは、解剖したスクラルを見て、ヴァースの供述が正しいことを知りました。再度、ヴァースに接触したフューリーと共にヴァースの記憶を辿りながら、ヴァースは一体何者なのか?スクラルの目的とクリーの秘密。 フューリーがいかにしてアベンジャーズを結成するにいたったかを、サスペンスフルに描いていてあっという間の124分でした。

キャプテン・マーベルは笑わない

『キャプテン・マーベル』は、内容も評判良く大ヒットしてますが、予告編の公開時に騒動が起きていたことをご存知でしょうか? 今作の主人公キャプテン・マーベルは、作中ほとんど笑いません。もっと笑顔でいればいいのにと予告を見た一部の人々が批判したんです。なぜ、笑わないだけで批判されるのか?それは、『キャプテン・マーベル』が女性の主人公だったからです。

ヒロインという役割の呪縛

昨今、男女平等と性差別を解消しようと社会が動き出しています。 ハリウッド映画界でも男性が優位で、最も分かりやすい例が出演料の格差です。ハリウッドの最も稼ぐ俳優と女優の上位10人の差が、大体3倍近く開きがありました。 多くのハリウッド映画の内容も、女性ヒロインは笑顔で愛らしいキャラクターで男性主人公を支える1人としての役割が多く、男はこうであるべき!女はこうであるべき!といった価値観の固定化が起きていました。つまり、『キャプテン・マーベル』への批判も、女性は笑顔でいるべきだ!と自らの価値観を押し付けているわけです。他の男性ヒーローは笑顔ばかりではないのに。

キャプテン・マーベルから受け取るメッセージ

こんな批判にも、この映画は真っ向からアンサーしてます。 ヴァースはまず何よりも強いし、男性が守ってあげるなんてシーンもありません。自身の力で解決しフューリーも相棒といった感じです。ライダースジャケットをさらっときて、アメリカンバイクにまたがるヴァースはとにかくカッコいいんですよね。ヴァースの昔のパイロット仲間も博士も女性ですし、一昔前、今もそうかも知れませんがパイロットや理系の博士に女性は向いてないと言われていたし、女性だからなれないとか、女性だからなりたい職業を目指すことを諦めざるを得ない人々に対する『キャプテン・マーベル』のメッセージです。

あるシーンで、ヴァースはパイロットになる訓練で周りの男性の訓練生に女だから出来ないとか無理だとか笑われます。しかし、実力で黙らせて見事パイロットに選ばれます。 惑星「ハラ」での、シーンでも上官のジュードロウ演じるヨン・ロッグに「笑っていろよ」と言われてずっと武道で勝てずにいましたが、ラストでものの見事に打ち倒します。(なぜ、上官と戦うかは見てのお楽しみ) 『キャプテン・マーベル』のメッセージ性は、女性であるとか男性であるとかではなく、映画の内容で評価される時代の転換期のアイコンになる映画として、今後も重要な映画になり得る大作だと思いました。

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