”伝説の終わりと新時代の幕開け。最後のアベンジャーズ”
脚本の巧みさは今作も変わらず。
2019年4月26日、前編『アベンジャーズ/インフィニティウォー』から1年後の公開。『アイアンマン』から10年以上続いたマーベル・シネマティック・ユニバースの集大成『アベンジャーズ/エンドゲーム』。それまで世界歴代興収No.1だったアバターを抜きました。181分とかなりの長尺ですが、一瞬も見逃せない素晴らしいシーンの連続でした。アイアンマンとキャプテン・アメリカの2人のリーダーの最後の決断は涙なしには観れません。
インフィニティ・ウォーには不在だったアントマンとキャプテン・マーベル (キャプテン・マーベルの感想) も物語の重要な役で登場しますし、今までのマーベルシリーズへのリスペクトと過去のシーンへタイムスリップしストーンを回収する作戦のシーンの脚本の巧みさと構成力。監督のルッソ兄弟はほんとうにすごい仕事をやりきりました。
ラスボスが死んで物語は、はじまる
サノスのインフィニティ・ストーンを利用した大量虐殺を生き延びたヒーローは、インフィニティ・ストーンとガントレットを取り戻すため、どこかの宇宙の星にいるサノスを急襲します。 しかし、サノスはすでに再度インフィニティ・ストーンを使っていて、ストーンは壊れていました。失った人々がもとに戻らないと知ったアベンジャーズ。絶望の中、ソーが サノスにとどめを刺し、いきなりラスボスが死亡するという展開で『エンドゲーム』は幕を開けます。
アイアンマンの覚悟が世界を救う
絶望から5年後。散り散りになったアベンジャーズの前に現れた、偶然に量子力学の世界から戻ったスコット・ラングことアントマン。アントマン&ワスプで量子世界に入ったところで、サノスのデシメーション(世界の半分を消すサノスの指パッチン)が起こり、アントマン以外の仲間は消えてしまっていました。
アントマンがいた量子世界は、時間の流れと次元がまったく違う。この方法でデシメーション前に戻り、ストーンを取り戻しデシメーションを起こさない。 光が見えたアベンジャーズは一人また一人集まり集結します。ただ、この作戦に難色をしめしたのが、トニー・スタークことアイアンマン。 この5年で、奥さんのペッパー・ポッツとの間に娘も生まれ、田舎で静かに暮らしていました。ブルース・バナー(ハルク)はアイアンマンがいないと過去に戻る作戦がうまくいかないと説得しますが、一度はトニー・スタークは断ります。
しかし、アベンジャーズが帰宅した後、考えることはどうやれば作戦がうまくいくか?とデシメーションで消えてしまった強い絆で結ばれた弟子ともいえるピーター・パーカー(スパイダーマン)のことでした。 覚悟を決めて、作戦に参加するトニー・スターク。このシーンがエンディングの大感動シーンへの布石となっています。
最高で最強のラストバトル
過去に戻り、ストーン奪還作戦(タイム泥棒作戦)のシーンがとにかく最高で過去作を見てる人へのご褒美シーンの連続です。 トニーと父の会話はとにかく泣けますし、キャプテン・アメリカの超有名なエレベーターシーンの変更。腐っていたソーの母との会話での復活劇。 素晴らしいシーンが目白押しです。なんとか、ストーンを回収して指を鳴らすブルース・バナー。無事、デシメーションで消えた人々が戻ります。しかし、ストーン回収作戦に気づいたサノス軍。地球を急襲し今度こそ最後の最後の大バトルが繰り広げられます。
マーベルが提示する新たな時代のヒーローたち
ここでも圧倒的な強さを持つサノス。ストーンをはめたガントレット争奪戦になりますが、分が悪いアベンジャーズ軍団。 ガントレットで最後に鳴らすのは誰か!?繰り広げられる大メインクライマックス!その中でも良かったシーンは、敵に追い詰められたピーター・パーカーを守るのは、キャプテン・マーベルを中心とした女子メンバーだったシーン。
前回のキャプテン・マーベルの記事でも書きましたが、女を守るのが男であり、それがヒーローだった時代とは違い、男性が弱ってると助けるのが女性だったとしても同じヒーロー像に違いはないんです。 男性だから、女性だからといった呪いはもうなくそうとマーベル・スタジオとディズニー。そして、監督であるルッソ兄弟は、映画や文化の新時代の到来を告げるアベンジャーズの最後でもあり、新たなヒーロー像の誕生のスタートです。