”絢爛豪華な美術と普遍的なストーリー”
2018年も絶好調のディズニーの実写化
ピョートル・チャイコフスキーの作曲したバレエ音楽くるみ割り人形の原作『くるみ割り人形とねずみの王様』をディズニーが実写映画化しました。 主演にモデルで女優のマッケンジー・フォイを抜擢、脇をキーラ・ナイトレイ、モーガン・フリーマン、ヘレン・ミレンがしっかり固めて、ディズニー制作らしくきらびやかで、豪華な衣装と映画の世界が美しく、ストーリーも誰でも楽しめる映画でした。
お話のあらすじ
ヴィクトリア朝時代のロンドン。人々はクリスマスイブでお祭りムードになっていました。名士ミスター・シュタールバウムも子供たちにクリスマスプレゼントを配っていました。 それは亡き妻・マリーの最期の願いを叶えるためでもあり、姉弟と共に主人公クララ(マッケンジー・フォイ)も卵形の箱をもらいます。そこにはマリーからの手紙が同封されており「 この卵の中には貴方が必要とするもの全てが入っています」と書かれていましたが、箱の鍵が見当たらず結局彼女の力では開けられません。
その後、クララ達は名付け親のドロッセルマイヤーが主催するクリスマスパーティーに出席します。しかし、母を失って悲しみに暮れるクララはパーティーを楽しむ気分にはなれず、隙を見てパーティーを抜け出して優秀な職人でもあるドロッセルマイヤーの工房を訪れると、彼に箱を開けてもらうよう頼みます。 その箱を見たドロッセルマイヤーは「その箱は私が子供の頃のマリーにプレゼントしたものだ。マリーはお前さんにその箱を渡したがっていた」と思い出話をします。
そうこうしているうちに、クリスマスプレゼントを受け取る時間がやって来ます。自分の名札がついた糸を発見したクララはそれを辿っていくんですが、 いつの間にか雪が舞い降る森の中へと入り込んでしまいました。糸を辿った先のクリスマスツリーに結ばれていた鍵を発見したクララですが、 入手する前にどこからか現れたネズミに鍵を奪われてしまい、後を追いかけます。そして、凍り付いた湖にかかった橋の袂にて番をしていたホフマン大尉の導きで、 クララは4つの王国(花の国、雪の国、お菓子の国、第4の国)からなる世界へと足を踏み入れることになります。
ストーリーは、分かりやすく簡単。だがしかし、、、
話は、分かりやすくてお子さんでも理解できて分かりやすいです。母マリーが作った秘密の世界が崩壊しそうになっていて、母の代わりに器用で聡明なクララが秘密の世界を救う物語で、 敵だと思っていた人物が仲間で、親切な人物が実は、、、と王道の展開で、テンポも異常に良いのでサクサク観ることができます。ただし、 話が明快すぎて観てるこちら側の感情も特に動くこともありません。アクションも凡庸ですし、登場人物の掘り下げ方も甘いかなと思いました 。もとは、古典の話ですしバレエの名作として とても有名なので、バレエで見るとまた違うのでしょうか?
現実とファンタジーの間。
ストーリーは、厳しい部分もありましたが美術と衣装はディズニーらしく、豪華で華やかです。ヴィクトリア時代のドレスだったり、モーガン・フリーマン演じるドロッセルマイヤーの屋敷も 細部までこだわりが感じられます。クリスマスプレゼントを街の子供達に配るシーンで、赤い紐をたどるとそれぞれのプレゼントが屋敷内に隠してあります。 クララが赤い紐をたどると母からもらった箱を開けることができる鍵を手に入れますが、突然現れたネズミに鍵を取られてしまい、そのネズミを追いかけて秘密の王国に入ります。 王国に足を踏み入れる演出が上手く、現実からファンタジー世界に違和感なく入れました。 主人公クララの衣装も豪華ですし、4つの王国のコントラストが利いていて、衣装を見ればすぐに王国の特徴を知ることができます。
素晴らしい俳優たちとキャラクター
今作の主役に抜擢されたクララ役のマッケンジー・フォイの涼しげな目元が印象的で聡明なクララ役にぴったりでした。今後のブレイクに期待したいです。 脇を固めるのは、謎のおじいさん役といえばこの人、モーガン・フリーマン。可愛らしい衣装と声とは裏腹に、野望を秘めるお菓子の国の統治者役のキーラ・ナイトレイ。 特にキーラ・ナイトレイの声は素晴らしく、観てすぐはキーラ・ナイトレイと分からないほどハマっていました。ここ数年のディズニーはマーベル映画が好調で、マーベル以外の映画も 手堅く作ってくる印象が強いです。『くるみ割り人形と秘密の王国』は興行的には失敗だそうです。内容は言うほど悪くない出来でしたし、『アリス・イン・ワンダーランド』などと 同一の世界観で観客もファンタジー世界に入りやすいです。元々のディズニーの強みである夢と現実の間のような作品は、得意でしょうし映画として強いです。