”すべては21分間のライブのために”
フレディ・マーキュリーは死してなお輝きつづける
2018年11月9日日本公開。すばらしい。2018年ベストどころかオールタイム・ベスト。感動しました。 クイーンは、日本のCMやドラマで良く使用されるので存在はしっていましたが、『ボヘミアン・ラプソディ』や『We Are the Champion』は聞いたことがあって、ボーカルの フレディ・マーキュリーの晩年も少し知ってるくらいでした。
映画も公開直前まで興味があまり無かったんですが、たまたまYouTubeで予告を見てこれは観たいと映画館に向かいました。 駆け足ではありますが、重要な部分はていねいにフレディの半生とバンドQueenの歴史を描いています。それが言い方は悪いですが、偉大ですばらしいネタフリになっていて ラストの21分のライブシーンに、つみかさねたすべての感情が爆発します。ここまでエモーショナルになる映画は個人的に今までなかったです。
円環構造の映画
まず、最初の「20世紀フォックス・ファンファーレがブライアン・メイバージョンになっていて良いです。映画は、ラストのライブエイドの当日のフレディから物語は始まります。準備をして会場に向かい、いざフレディが登場!とバックショットで見せるんですが、そのバックショットがフレディ・マーキュリーそのもので、このシーンを見た瞬間から映画に引き込まれました。ライブエイド登場まで→Queenの結成と成功→バンドの確執→フレディの孤独→和解とライブエイド出演→ライブエイド21分のライブシーンへと序盤と終盤がつながる円環構造になってます。
ペルシャ系移民出身の青年ファルーク・バルサラ(後のフレディ・マーキュリー)がギタリストのブライアン・メイ、ドラマーのロジャー・テイラーのバンドに加入し新メンバーのベーシスト・ジョン・ディーコンとQueenを結成して成功を掴みますが、同時にフレディ・マーキュリーの孤独も深まり、一度バンドを手放しかけますが、元婚約者のメアリー・オースティンの助言もあってもう一度Queenにチャレンジします。
しかし、フレディの体は病に侵されていました。病をおしてフレディとQueenはライブエイドに出演します。21分のライブシーンは、もう完コピも完コピ。素晴らしすぎました。『ボヘミアン・ラプソディ』 を観た人は、もれなくYouTubeでライブエイドを検索したでしょう。私も何回も見ました。見るたびに映画の感動がよみがえってきますね。
ボヘミアン・ラプソディは歴史的名曲
ボヘミアン・ラプソディという曲を改めて聞くとめちゃくちゃにすごいです。ロックとオペラの融合なんてQueen以外に誰も出来ないです。QueenっぽいバンドってQueen以降に現れてないように
唯一無二のバンドだったんだと思いました。
Mama,just killed a man(ママ たった今人を殺して来たよ)
ファルーク・バルサラを殺して、フレディ・マーキュリーとして生きると決めた覚悟。
オペラ部分では、天使と悪魔の会話で、自分とはなにか?問い、そこから怒涛のハードロック。悩みながらも、たいしたことじゃない。と、なんとか前に進もうとする名曲です。
ヒット曲は、ラジオでオンエアされることが条件で、6分以上あるボヘミアン・ラプソディはラジオ向きではないと、リード曲として出すことにレコード会社の重役(マイク・マイヤーズ)
は反対しますが、Queenのメンバーの先見性は、とてもすごいと思います。
Put a gun against his head(彼の頭に銃を突きつけたんだ)
Pulled my trigger,now hes dead(僕が引き金を引いたら彼は死んじゃった)
Mama,life had just begun(ママ 人生は始まったばかりなのに)
But now Ive gone and thrown it all away(僕はすべてを捨ててしまった)
ライブエイドと泣いた名場面
フレディ役のラミ・マレックはじめQueenのメンバーは役に入りこんでいて、見た目だけでなく話し方までそっくりです。ライブエイドのシーンの再現性の高さは見事としか言いようがなく、キャストやスタッフの並々ならぬ決意を感じます。振付師ではなくて、ムーブメントコーチを雇いフレディの仕草や癖を研究して演じたそうです。ムーブメントコーチなんて職業もあるんですね。 ライブエイドのボヘミアン・ラプソディのシーンは泣きましたが、その前のシーンでも泣いてしまいました。 後に最後のパートナーとなるジム・ハットンとフレディがフレディ主催のパーティーで出会いますが、ハットンに惹かれるフレディにハットンは「本当の自分を見つけたら来て」とフレディに言って去ります。
紆余曲折を経て自分の使命を見つけたフレディは、ハットンの家にライブエイドの直前迎えに行きます。すべて吹っ切ったフレディの表情を見て、ジム・ハットンとフレディの実家にふたりで向かいます。 カミングアウトはしてないものの、察する家族。そこには、昔から折り合いが悪かった父の姿もありました。日頃から善い行ないをしろとずっと言われ続けフレディは反抗してましたが、最後の最後にライブエイドという大規模なチャリティイベントにフレディが出演すると知った父と息子フレディの抱擁のシーンですでに泣いてしまいました。そこからライブエイドへのシーンへつながる終盤は、もう最高としかいいようがありません。
don't stop me now
エンディングも最高で、エンドロールにdon't stop me now (とめないで、今は)からThe Show Must Go On(さあ ショウを続けよう)と名曲とともに生前のフレディマーキュリー写真が使われてます。 時系列を入れ替えてるとかの批判はあるようですが、ブライアン・メイの「ドキュメンタリーじゃないから、すべての出来事が順序立てて正確に描写されているわけじゃない。でも、主人公の内面は正確に描かれていると思う。」(wikiから引用) の言葉でしめたいと思います。ありがとうございました。