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ハイ・フィデリティ

”音楽ジャンキーの人生振り返り映画”

30代独身男の失恋を振り返る

2001年ジョン・キューザック主演作。中古レコード店経営の30代独身男の失恋を振り返りつつ、現実と向き合う文化系音楽映画。 レコード店の店員バリー(ジャック・ブラック)、ディック(トッド・ルイーゾ)と主人公ロブ(ジョン・キューザック)のレコードオタクぶりがハマってます。 主人公ロブが恋人ローラにフラれるとこから、映画は始まります。なぜ毎回、ロブはフラレるのか?過去の恋愛トップ5を振り返りつつ、どうしてフッたのかを過去の女性に会いに行って 自分の人生を見つめ直します。音楽オタクが主人公なので、全編にかかる音楽は素晴らしくサントラも良いです。

カメラ目線の意味

主人公ロブが、過去の恋愛でどうフラれたか語るシーンが物語の序盤から中盤にかけて多くあるんですが、カメラ目線で観ているこちら側に話しかけるような演出が、『ハイ・フィデリティ』 を観ていて、印象に残りました。この演出でロブと友達感覚というか、ロブに感情移入しやすかったです。ロブの自分語りでは、過去も今の彼女だったローラも彼女側からフラれたと思っていたんですが、過去の彼女にあらためて会って、話をするとどうやら、やらかしたのはロブ自身だったと本人が気づいていきます。終盤、ローラの父が亡くなって、お葬式に参列してローラの打ちひしがれているローラをみて、ロブは自分の地に足についていない中途半端な人生を悔やみ、気持ちを新たにします。

現実を見よ!

そこからは、カメラ目線でこちらに語りかけるシーンが減っていくんです。 最初の頃のロブは、過去の恋愛で相手のことより、自分のことばかり考えている事に気がつかずに相手を責めてばかりでしたが、自分に非があることを認めたことと、人生を前に進める決意ができたことで、成長します。ローラにフラれてから、はじめて現実の問題と向き合うことができたのです。カメラ目線のシーンは、自己中だったロブの心を表していると思いました。過去の女性たちを「あっちが悪い。」と最悪なフラれ方だのと今もずっと言ってる感じ、痛いほどよく分かります。私も完全にそっち側ですし、、、、。

30代になると新しい音楽を聞かなくなる問題

以前、30代になるとトレンドを追うことを多くの人が辞めてしまうという研究結果がでてるという記事を読みました。理由は、仕事や育児に忙しくてそもそも新しい音楽を掘る時間がないだとか音楽を聞くことは、音楽が過去の記憶や感情を強く呼び起こす作用をもっているからとかだそうです。確かに、私も過去聞いた曲をなんども聞くし、なんかあったらすぐにフジファブリックの「若者のすべて」を何回もリピートしますね。過去の曲ばかり聞くのを悪くはないとは思うんですが、そのぶん過去を振り返ってばかりいると現実がみえなくなることもあるよ。とこの映画を観て強く思いました。 ノスタルジーの力って凄いです。いい意味でも悪い意味でも。

最後にちょっと疑問

ロブが雨に打たれて打ちひしがれるシーン多すぎないか?と。傘もささず外をフラフラとずぶ濡れになりながら感傷にひたるシーンは、様々な恋愛映画である手法ですけど、ハイ・フィデリティは、 何回やるんだって思うくらい多かったです。あえてなのかは、分からないですけども。

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