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シンゴジラ

”怪獣プロレス映画からの脱却!無駄のないストーリー”

2016ゴジラ大復活。

エヴァンゲリオンの庵野監督×ゴジラ。この組み合わせはとても楽しみでした。もともと、大の特撮ファンだった庵野監督の本当にやりたいことうを実現した初期ゴジラファンのための映画だと思います。

2000年代ゴジラの苦境

最初は、期待してなかったんです。というのも、ゴジラシリーズは平成版ゴジラ(VSシリーズ)しか観たことなくて、ゴジラVSスペースゴジラとかゴジラVSメカゴジラとか中学生頃までは、観に行ってたし好きだったんだけど大人になってからは見返すこともなくなって。ゴジラ2000(ミレニアムシリーズ)以降はゴジラシリーズから離れていました。 興行収入もミレニアムシリーズは苦戦したようで、ゴジラ FINAL WARSをもって一旦終了しました。私自身、ゴジラに対して興味がかなり薄くなってました。

2016年ゴジラは、圧倒的リアリティと共に復活した。

このまま、ゴジラを終わらすのは、、、、という事で白羽の矢が立ったのが庵野秀明と樋口監督でした。 今回のゴジラに期待したのも庵野秀明が監督だからでした。エヴァンゲリオンもライト層ながらハマりましたし、巨神兵東京に現わるもなんか良かったし。とういうことで、観てきましたシンゴジラ。率直な感想としては、いや〜ほんっとに面白かったです。

シンゴジラを語るうえで避けて通れない3・11

シンゴジラを観て、やっぱり3・11の事はどうしても出てきますよね。ゴジラ自体が原発事故のメタファーですし、その後の政府の対応、最後の作戦へ出向く自衛隊への内閣副官房長官矢口(長谷川博己)の言葉。否が応でも、当時の気持ちが呼び起こされます。3・11以降、あらゆる作品の形が変わったと思うんです。 正面から3・11を描いた作品もあれば、少し取り入れていたり。しかし、ここまで正面から3・11を描きつつエンターテイメントに仕上げた庵野監督とスタッフは素晴らしい!

ゴジラが怖い。

シンゴジラには、庵野監督のエキスが隅から隅まで入ってました。何よりゴジラが本気で怖かった。 ゴジラってそもそもどんな存在なんだろうか?いかんせん自身は、平成ゴジラを子供の頃に観ただけなので、 突如現れた怪獣(キングギドラとか)が日本を破壊してるところに、突如現れたゴジラがその怪獣と戦い。倒し、そして海に帰っていく。そんな感じのイメージでした。ゴジラを正義の味方として観てましたね。 しかし、初代ゴジラは元々人間にとっての恐怖の対象として作られたんですね。不勉強でした、、、。

今回の庵野ゴジラは、原点に立ち返り恐怖の対象としてゴジラを描き切ってます。 最初の爆発からゴジラが、第一形態で現れるとこも怖かったし、何よりゴジラが熱線を放射して東京を文字通り火の海にしたシーンとまさかあんなとこからも光線!?がでるし破壊シーンが素晴らしいと思った所は、ゴジラの破壊に対して為す術もなく立ちすくむ人々がとても静かだったんです。そこが圧倒的にリアルでしたね。 本当に絶望的で経験したことがない状況に置かれると、人って声も出ないんじゃないかと思うんです。

恐るべきゴジラに人はどう対抗したのか?

ストーリーは、とてもシンプルで全く無駄がありません。まず巨大不明生物が現れ、街に上陸し暴れる。 自衛隊の攻撃が紆余曲折を経て決まり、戦闘機が出撃。しかし、攻撃直前に逃げ遅れた民間人を発見し、攻撃を中止します。 確かに、人が一人でもいたら、現実でも攻撃はしなさそう。 海外だったらどうだろう。少数の犠牲は、やむなしとして撃っちゃうんだろうか? うーん、どっちが正解なんだろう。この辺りのリアリティも最高です。

その後、自衛隊が戦車や戦闘機による一斉攻撃をかけますが、ゴジラには全く効きません。 自衛隊や米軍の攻撃も効かず、アメリカを中心に国連は核の使用を決定。 だが、日本に核爆弾を使用すれば日本の復興と再生なんてまず無理!更に、三度核を使用される屈辱、、、。核爆弾投下リミットが迫る中、より有効な策を練ってゴジラを止めてみよ!と言った感じのストーリーです。そこには、責任を取りたくない大臣と進まない会議。 危機感の薄さを露呈しアメリカからも、せっつかれながらなんとか打開策を模索する主人公の内閣副官房長官矢口(長谷川博己)を中心として特別チームの奮闘ぶりが胸を熱くさせます。

豪華俳優陣の中でも、印象的だった高橋一生と市川実日子

シンゴジラは、出演者がめちゃめちゃ豪華なのも話題で、主人公を演じた長谷川博己や賛否両論(石原さとみ)や竹野内豊の演技も良かったんですが、 その中で特に印象的だったのが、ゴジラ対策特別チームの一員を演じた高橋一生と市川実日子でした。 基本的に会議シーンや会話シーンが多くを占めるこの映画で一人ひとりのセリフ量も多いし、みんな早口でなにやら難しいことを言ってるんです。 これは、実際の官僚にスタッフが取材して、早くセリフを喋るよう出演者に求めた庵野監督の演出だったそうです。

その中でも、文部科学省から来た高橋一生と環境省自然環境局から来た市川実日子の演技が最高でした。 独り言なにか、ぶつぶつとつぶやき自分の脳内でよっしゃなんか思いついたぜ!ってなってるけど、他の人は、ポカーン。みたいな。 そんな人いそう!感が満載なんですよ。満載と言えば、ゴジラのモーションキャプチャーって野村萬斎だったんですよ、、、。。スミマセン。。。

シンゴジラのシンってなんだろう?ゴジラの手はなぜ上向き?

ゴジラを演じた野村萬斎は狂言師です。狂言って全く無知で申し訳ないんですが、人を演じたり、狐を演じたり、神を演じることもあるそうです。 ゴジラを演じるにあたり、監督からシンは神のイメージで演じてと話したそうです。普通、四足の生物が二足歩行すると前足は下を向くと思うんですが、シンゴジラは、上を向いてます。これは、龍だったり仏様だったりこの世のものではなく、なにか神聖なものって手は上を向いてる。そこから着想して話し合ったそうです。

神(シン)ゴジラをどうやって止めるのか?

特別チームは、ゴジラの動力源は、核による熱のエネルギーだ!と突き止め、各国と交渉して日本独自の作戦を展開します。作戦とは、膨大な熱エネルギーを使い切らせてゴジラを一旦機能を停止させて、 転ばせてから体内に血液凝固剤などを注入してゴジラを固めて止める!名付けてヤシオリ作戦!です。 転ばせるために、無人在来線爆弾と言うものを使うんですが、これがまたいいんですよ!観た後、言いたくなりましたもん!無人在来線爆弾!って。

そして、転んだゴジラの口から凝固剤を注入して冷やして固めて止めます。これが、ヤシオリ作戦でした。 この作戦も、3・11の福島原発を冷やすために、上空からヘリで水を注入した当時の作戦が思い浮かびましたね。 3・11とゴジラ。あの出来事があった後だからこそ、ここまでリアリティがあったと思いますし、正にニッポンVSゴジラ・現実VS虚構というキャッチコピーも、映画を見た後だと更に秀逸なコピーだったと思います。 こんなに語りがいのある映画も久々だなと思うんです!ほんっとにオススメなので、是非観ていただきたいですね!

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