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君の名は。

圧倒的な風景の美しさ!!新海誠監督が描いた希望の物語。

2016年最大のサプライズ!!

この記事を書いてる2016年10月時点で興行収入150億円突破!というメガヒットしてる本作。 新海誠監督のアニメ映画6作目にして、監督自身最大のヒットを記録してます。普段あまりアニメ自体を観ないんですし、 新海監督の作品も『秒速5センチメートル』しか観たことがありませんでした。 『秒速5センチメートル』は、おもしろいです。モノローグも好きだし音楽との相性がバッチリです。物語が終わってかかる『one more chance one more time』めちゃ響きました。

『君の名は。』も最初は、観に行くかどうか迷ったんですが、めっちゃ周りの評判がいい! しかも、これだけ話題で当たってるとなれば、観ない訳にはそりゃいかないでしょと持ち前のニワカ魂がうずき、ようやく観てまいりました。

監督本人もびっくりの大大大ヒット!!

新海監督の作風は、美しい風景と詩的なセリフとモノローグ(語り)にSF(宇宙)と音楽との親和性。 そして基本的に主人公を始め登場人物は思春期の人がほとんどです。『君の名は。』を観た後、他作品も観てみましたが、最高じゃないっすか。 順調に興行収入を伸ばしてますが、前作でも1億5000万ほどだったようです。その次が、150億突破ですよ!恐ろしや、、、。東宝での配給が決まったのも大きいでしょうが、『君の名は。』を企画書の段階で規模をどんどん大きくしていった 東宝の内部の人たちや東宝プロデューサーの川村元気氏の眼力は凄いです。

美しい作画の更なる向上の陰にジブリあり!

『君の名は。』でさらに作画の美しさが際立っていますよね。その理由のひとつに、作画監督や作品に元ジブリで腕を磨いた職人が多く参加していた事が挙げられます。 アニメ映画の大作を作る時に、監督たちの間で優秀なアニメーターの争奪戦になるそうなんです。 この作品の作画監督は、安藤雅司氏で『もののけ姫』や『千と千尋の神隠し』の作画監督を務めた方であり、キャラクターデザインやアニメーターも日本のトップと言われている方が担当してます。 こういった理由で、今までの作品より際立った作画の美しさだったのではないでしょうか?

君の名は。3.11以降の希望の物語

前置きがかなり長くなりましたが、ここから内容に入っていきます。 ”物語は、東京の高校生・立花瀧と飛騨の山奥の女子高生・宮水三葉が夢の中でお互い入れ替わっている。 翌朝、入れ替わってることを忘れいたが『入れ替わり』が度々起きること、周囲の反応などで夢ではなく、現実に入れ替わっている事に気づく。お互いの生活を守るため、 ルールを決めて日記を記す事で、入れ替わってる期間の記憶を埋めていく。瀧のバイト先に憧れている奥寺先輩がいて、入れ替わってる三葉は瀧自身が奥寺先輩に憧れている事を知り奥寺先輩とデートの約束を取り付ける。しかしデート当日、瀧は当日にデートだと知り、何も準備しないままに行き上手く会話も弾まず、落ち込んだ瀧は三葉に電話をするが繋がらず、その日以降、『入れ替わり』も起きなくなる。三葉に会いたいと思い立ち風景のスケッチを頼りに友達の藤井司と奥寺先輩と共に、飛騨へ向かい紆余曲折を経て三葉の住む糸守を突き止めますがそこは、3年前に隕石(ティアマト彗星の破片)が町に衝突し、三葉や家族友人を含め500人以上が亡くなっていることを知る______。

もう一度入れ替わることを願い、瀧は以前三葉と入れ替わった際に参拝した山上にある宮水神社の御神体へ一人で向かい、三年前に三葉が奉納した口噛み酒を飲んで隕石衝突前の 三葉に入れ替わることに成功して町のみんなを救うため、三葉(入れ替わった瀧)が奮闘し、そして_______。”

隕石の衝突。防災無線。警報とどうしても3・11の出来事を思い起こさせます。シンゴジラの感想でも書きましたが。3・11以降だからこそ リアリティある危機として観客に入ってきますし、そこからエンディングへの感動に繋がりましたね。シンゴジラの感想で書きましたけど、 シンゴジラは3・11当時の悪夢と立ち向かう人々の勇気とその先の希望を描いていましたが、『君の名は。』は、シンゴジラとは違った形の3・11以降の希望を描いたお話でした。

キーワードは、"3"

予告の時点で瀧と三葉が入れ替わる事が分かっていますし、割と本編の最初の方にすでに入れ替わります。しかし、同時期に入れ替わっているとは限りません。 本編が進むに連れて、瀧と三葉の入れ替わりには3年の時間差があることがわかります。先に、三葉が3年後の未来の瀧と夢で入れ替わっていたんですね。 瀧が奥寺先輩とデートの前日、三葉が瀧に会いに行きますが瀧は入れ替わる前なので三葉を知る由もなく、そっけない態度を取りますが何かを感じて三葉が渡した赤い髪紐を受け取ります。 この赤い髪紐が分かりやすいくらい縁、絆、運命等を示唆していますね。髪紐を渡すシーンめっちゃ個人的に好きです。

この"3"が世界のナベアツばり(古い)に、大事なキーワードでした。3年の間に隕石の衝突も起きて亡くなってしまうし、後に入れ替わった瀧だからこそ糸守を訪れ、過去に起きた惨劇を知り 過去を変える事ができました。ここで、入れ替わりに口噛み酒を使ったのも胸熱でしたね。 新海誠監督は、時間経過のどうにもならない残酷さを『秒速5センチメートル』や他の作品で描きましたが、『君の名は。』は、その時間(過去)も変えてしまいます。 過去作は、時間を取り戻すことは出来ない。でも僕らはそれを抱えていく。そんなメッセージかなと勝手に思っていましたが、『君の名は。』は、ラストはだいぶ違います。

惨劇からみんなを救い、記憶をお互い忘れて過ごしますが、誰かを探してる感覚はある。そしてある時ようやく出会い、『君の名前は!!!』につながりエンディングへ向かいます。 やはり、3・11を経て監督自身も年齢を重ねて心境の変化があったんでしょうか?過去作でも、SFとファンタジーとラブストーリーを描いていましたので、過去と未来を行き来する本作でのまとめ方も 素晴らしかった。

モノローグ。と音楽。と風景の素晴らしさ

NHKの番組で、SWITCHインタビューが放送されています。新海監督と川上未映子氏が出演する回があるんですが、そこで『君の名は。』を始めとする作品の話をしていました。 そこで、モノローグと音楽の使い方について語っています。 新海監督は、”言葉とかリズムとか音が好き。音楽も好き。そうするとモノローグってダイアログ(会話)と違って、少し音楽に近いような気がするんですよね。詩のようなものであって。 音から組み立てていくとモノローグが欲しくなってしまうしかし、そこには批判も合って、アニメだからモノローグはいらない。絵で表現すればいい。との声をたくさん頂くと。 でも何か欲しい。1本の映画が長い時間軸の1曲みたいな。1曲をきいた後みたいな気持ちになって欲しい。” と語ります。『君の名は。』も劇中音楽はRADWIMPSが映画制作初期から携わっていて、挿入歌で泣きそうになったりエンディングではいつまでも聞いていたい気持ちになりました。 こんなに音楽と映画がカチッと合った作品は初めてでした。

今作も素晴らしい風景のカットが多々ありましたけども、風景の素晴らしさの原点は、昔から人を描くより風景画と色に興味があって、更に言えば、雲の形と雲の色が好き。 雲の絵を水彩絵の具で書いていて、雲を漠然と描くと漠然とした雲になる。しかし、描いた雲に例えば上空はどのくらい風が吹いているのか?寒いのか?とか何となく体感があるといい雲になる。 と語っていました。やはり、風景と雲一つ一つにこだわりや意思があってこそ新海監督独特の美しい風景が描けているんですね〜。 この番組もとても面白かったし『君の名は。』を補完する意味でも素晴らしい番組でした。

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