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世界から猫が消えたなら

”世界に何かが存在する理由はあっても、失われる理由なんてない。”

等価交換の考えとそれを拒否する優しい主人公

最初、主人公は物にあふれたこの世界に必要なものなんてそんなにないんじゃないか?と思い、悪魔に提示される通り電話が消え、映画が消え、時計が消していきますが、 その次に提示された猫を消す事を拒否し、死を受け入れます。 『何かを得るためには、何かを失わなければね。』主人公の母は生前、よくこう言っていてのを思い出し、 死を前にした主人公は思います。『母さん、死にたくないよ。死ぬのは怖いよ。でも、母さんの言うとおりだ。何かを奪って生きていくのはもっと辛いよ。』 誰かから何かを奪って、生き延びるのが幸せだと思えなかった。

母の大きな愛情と父の深い思い。

主人公の母は、死期が迫っている事をわかり主人公に手紙を書きます。その手紙には死ぬまでにしたいことを書きたかったけど、死ぬまでにしたいことは、ぜんぶあなた(主人公)のためにしたいことだったと。 だから、あなたの素敵なところを書きます。 手紙を読み、母との思い出を思い出します。死の間際にも関わらず、子供のことを最後まで気にかけている。 母は強しとよく言いますが自分より子供への愛情の深さを知りました。 その母が、最後に願っていたのが父と仲良くしてくださいと。 そして、最後の日に身辺整理を始めます。部屋の最後の片付けをしていると奥から小さな箱を見つけました。そこには、父からもらったたくさんの切手でした。 子供の頃には、すごく大事にしていたのに今まで存在すら忘れていました。しかし、そこで思い出します。 この切手を貼った手紙が世界を旅して主人公の元に届くのを楽しみにしていたこと。それがこうじて郵便配達人になったことを思い出します。

ほんとうにたいせつなことはきづかない

そこで、主人公は、気付きます。父は手を差し伸べていたんだ。それを掴むだけだったのに。主人公は最後の最後に気付けて幸せだったと思います。 だけど、逆に最後だったからこそ気付いたのかもしれません。 いつまでもこの世にいれるわけではありません。分かっていながら、本当に大切なことを、後回しにして、目の前にあるさほど重要ではないことを優先していると主人公は途中嘆きます。 私も日々の生活に追われ、なにが本当に大切かを考えることすらやめていました。 この本を読んで、本当に大切なことは何か?と少し考えられただけでも、読んで良かったと思います。

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